顔色が悪い

顔色が悪いとは

写真:顔色が悪い

顔色は、そこに流れる血液に酸素が多く含まれていれば鮮やかできれいな赤色になります。反対に酸素が少ない血液では、暗い赤色で、紫色に見えることもあります。また、酸素の量だけでなく血液の流れが悪くなると「チアノーゼ」という状態になり、顔色や爪の色が悪くなります。 子どもの顔色が悪いことを始め、病気になった時やそれを疑うような症状を知るためには、健康で正しい状態がどのような状態かを知っていることが前提となります。健康な状態を知っているからこそ、「いつもと違う」ところに気づくことができるのです。日ごろから、食欲、機嫌、活動性、顔色などをよく観察しておくことが役に立ちます。

顔色が悪くなる原因

顔色が悪くなる原因には、「冷たい外気の影響で血管が収縮し、血液の流れが悪くなること」があります。この場合、体が温められると元の色味に戻るのであればほとんど問題はありません。しかし、元の色味に戻らないときや、短時間のうちに顔色が悪くなったりよくなったりを何度も繰り返すような場合には何らかの病気が関与していることも考えられます。 考えられる原因として、心臓や血管に奇形がある生まれつきの病気の場合や、呼吸や血液を全身に送り出すことが難しくなる肺や心臓の病気、血液中の酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンの量が少なくなっている貧血などが挙げられます。 また、発熱時に顔色が悪くなることがあります。風邪などの感染症では、体温を上げて体の中に入って来た病原体と闘いますが、熱が上がる時に外に熱が出ないようにするために、体表面の毛細血管を収縮させます。寒くて顔色が悪くなる時と同じことが体の中で起こっているので、顔色が青白く、手足の体温が下がり冷たくなります。 肺炎や喘息の急性増悪などでかなり呼吸状態が悪化した時も顔色が悪くなります。 なお、1~2歳くらいまでの子どもの場合に考えられる原因として、異物誤飲があります。周囲にあるものを何でも口にする年齢ですが、飲み込んでしまったものによって対応が異なります。

自宅でできる対応

単に「ちょっと顔色が悪いかも」だけであれば、基本的には自宅で様子をみても構いません。前述のように、熱が出る前や、冷たい空気にあたっただけのこともありますので、しばらく様子をみましょう。 このほか、咳、腹痛などがあっても、顔色がいつもとあまり変わりなく、そこまでしんどそうでなければあわてなくてもよいでしょう。何かを誤飲したような場合も、それがごく少量のインクや絵の具、粘土、石鹸、化粧品、台所洗剤などで、特に症状がない場合は気を付けながら経過観察でもよいかもしれません。 尚、何となく顔色の悪い状態が長く続くような場合は貧血の可能性もありますので、小児科で相談してみましょう。

小児の救急対応ができる医療機関を受診した方が良い場合

顔色が悪くてあやしても笑わないほか、生後3か月未満で38℃以上の発熱がある、水分もとれない、元気がなくゴロゴロしているようなときは、救急車ほどの緊急性はありませんが、翌日を待たずに夜間救急などを受診した方が良いでしょう。

すぐに救急車を呼んだ方が良い場合

発熱や呼吸が苦しくて動けない、唇の色が悪い(紫)、意識がおかしい(呼びかけに反応しないなど)とき、5分以上つづくけいれんがあるときなどは、すぐに救急車を呼びましょう。また、顔色が真っ白(顔面蒼白)で苦しそうな表情や強い腹痛もみられるとき、急に強く嘔吐するときも、腸重積などの病気が原因のことがあります。 また、何かを誤飲し、顔色が悪く呼吸がおかしかったり、意識がなくなったりするような場合は、救急車を呼ぶ必要があります。

顔色が悪いときの検査

顔色が悪いとき、基本的には予測される病気に対する検査を行います。発熱や嘔吐など、何らかの感染症が疑われる場合は、原因となる感染症に対して検査をします。 それ以外の病気が疑われるときに行う検査は、予測される原因によって少し変わります。

  • 貧血を疑う場合
    食事内容の聞き取りや、血液検査などを行います。
  • 喘息を疑う場合
    呼吸が苦しそうなどの症状もある場合は、喘息を疑うことがあります。血液検査のほか、胸部のレントゲン検査、呼吸機能検査などを行う事があります。
  • 腸重積を疑う場合
    嘔吐や間欠的な腹痛を伴うような場合は、腸重積を疑います。腹部の超音波検査、便検査などを行います。

顔色が悪いときの治療方法

「顔色が悪い」状態は、何らかの原因がありますので、その原因を取り除くことが主な治療になります。 風邪など何らかの感染症が原因の場合、安静やお薬の服用など、それぞれに対する治療を行います。 貧血、特に「鉄欠乏性貧血」が原因の場合、錠剤を服用することで、鉄分を増やすような治療を行いながら、食事内容の改善を行うことがあります。 喘息が原因の場合は、気道の慢性的な炎症を鎮めるお薬や、発作が起きたときに使用するお薬などがあります。 腸重積症の場合は、まずは非観血的な整復を試みますが、整復が難しい場合は手術が必要となることもあります。 いずれの場合も、原因を見極めることが大切です。いつもより顔色が悪く、心配なことがありましたら、早めに小児科を受診しましょう。