この頃急に冷え込んだり、また暖かくなったりと気温の変化が大きい季節は、お子さまの体調管理が特に心配になりますよね。
特に、長引く咳や熱が出ると、「これはただの風邪?」「もしかして、周りで流行っているマイコプラズマ肺炎ではないかしら?」と不安になるお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか。
例年、季節の変わり目には風邪や呼吸器の症状で受診されるお子さんが増えます。今回は、保護者の方が特に心配される「マイコプラズマ肺炎」と「普通の風邪」の違いについて、にじいろクリニックが安心できるよう分かりやすく解説します。熱が続いたときの受診の目安や自宅ケアのポイントを知って、不安を安心に変えましょう。
咳や発熱…「普通の風邪」とマイコプラズマ肺炎、どう違うの?
普通の風邪(かぜ症候群)は、多くの場合、ライノウイルスやアデノウイルスなど様々なウイルスが原因で起こります。主に鼻水、のどの痛み、軽い咳といった症状から始まり、発熱があっても比較的短期間で治まることが多いです。
一方、マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ」という細菌が原因で起こる肺炎です。風邪と決定的に違うのは、症状が長引きやすいこと。特に咳は、初期は乾いた咳から始まり、次第にコンコンと続く激しい咳に変化し、熱が下がった後も3~4週間続くことがあります。
「風邪薬を飲んでいるのに咳だけが良くならない」「熱が一旦下がったと思ったらまた上がった」といった場合は、マイコプラズマ感染を疑う一つのサインです。ただし、近年はマイコプラズマに感染しても軽い症状で済むお子さんも多く、見た目だけで判断するのは難しい場合があるため、長引く症状には注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎で「受診を急ぐべき」判断基準3つ
お子さまの体調が悪そうだと、すぐに病院に行くべきか、もう少し様子を見るべきか迷いますよね。特にマイコプラズマ肺炎が疑われる場合や、他の重い病気の可能性を否定するためにも、以下の3つのサインがあれば、早めの受診を検討してください。
- 高熱が3日以上続く場合: 風邪による熱は長くても2〜3日で下がり始めることが多いですが、高熱(38.5℃以上)が3日以上続く場合は、肺炎や他の細菌感染の可能性があります。
- 咳が激しく、眠れない・食事が摂れない場合: 咳で夜中に何度も目が覚めて睡眠不足になったり、咳き込みすぎて嘔吐したり、食事が進まないなど、生活に支障が出ている場合は、体力の消耗を防ぐためにも治療が必要です。
- 「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」と変な音がする場合(呼吸困難): これは喘鳴(ぜんめい)と言い、気管支や肺の炎症が強い証拠です。呼吸が苦しそう、肩で息をしている、唇が紫色になっている(チアノーゼ)といった呼吸困難のサインがあれば、すぐに医療機関を受診してください。
これらがなくても、保護者の方が「いつもと違う」「何かおかしい」と強く感じる時は、遠慮なくご相談ください。
自宅でできる咳のケア|夜間の咳を和らげる生活密着型テクニック
咳でつらそうなお子さんを見ると、代わってあげたい気持ちになりますよね。薬による治療も大切ですが、自宅での環境を整えることで、特に夜間の咳を和らげることができます。
- 加湿を徹底する(湿度50〜60%を目安に): 空気が乾燥していると、のどや気管の粘膜が刺激されて咳が出やすくなります。加湿器を使用し、特に寝室の湿度を保ちましょう。濡れタオルを室内に干すだけでも効果的です。
- 水分補給をこまめに行う: 咳で体力を消耗し、また痰を切れやすくするためにも、水やお茶、経口補水液などでこまめに水分を摂らせましょう。
- 上半身を少し起こして寝かせる: 平らな布団に寝かせると、重力で鼻水や痰がのどに流れ落ちて咳を誘発しやすくなります。バスタオルなどを敷いて背中から頭にかけて少し高く(傾斜をつけて)してあげると楽になります。
これらのケアは、風邪の咳、マイコプラズマの咳、どちらにも有効です。体力を温存させ、回復を助けることが一番大切です。
登園・登校判断の目安
さて、保護者の方が最も迷うのが「いつから登園・登校していいか?」という登校許可の判断ですよね。
マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法で「第二種感染症」に分類されており、熱が下がり、咳の症状が軽快し、全身状態が良いことが登校再開の目安とされています。具体的な登校許可の基準は、主治医が全身の状態を見て判断します。自己判断せず、必ず小児科医に相談し、登校許可証をもらってから登園・登校するようにしてください。
普通の風邪の場合も、発熱や下痢などの症状がなくなり、食欲や活気が普段通りに戻っていることが大切です。他の子へうつさないためにも、無理をさせず、体調が万全になってから登園・登校しましょう。
小児科医からのメッセージ:不安な気持ち、一人で抱え込まないで
長引く咳や熱、診断が難しい病気の可能性…お子さんの不調は、保護者の方の心身に大きな負担をかけます。しかし、大切なのは、不安を煽られる情報に振り回されるのではなく、お子さんの様子を注意深く見守ることです。
「うちの子の症状は、これに当てはまるのかな?」と悩んでいるときは、一人で抱え込まず、いつでもにじいろクリニックにご相談ください。私たちは、岡山市の地域に根ざしたかかりつけの小児科として、保護者の方の不安に寄り添い、お子さんが一日も早く元気になれるよう、一緒に歩んでいきます。
どうぞ、安心して当院をご利用ください。