B型肝炎ワクチンについて💉

当院では、各種予防接種を受けることができます。現在の定期予防接種は生後2ヶ月からが開始するのが一般的になっています。生後2ヶ月からできる予防接種のひとつにB型肝炎ワクチンがあります。
B型肝炎ウイルス(HBV)は、皆さん一度は耳にしたことがあるかと思います。HBVは、ヒトの肝臓に感染し、一時的な感染あるいは持続感染(キャリア状態)を起こします。持続感染の多くは出生時または乳幼児期の感染で成立することが知られており、そのうち約10~15%は感染から年月を経て、慢性肝炎を発症し、その後肝硬変・肝細胞癌を発症することがあります。感染していても症状がなく、自身が持続感染状態にあることに気付かない人もいます。お母さんがHBV保有者(キャリア)であるかどうかを、妊娠時に採血(HBs抗原)で調べる理由のひとつ、出産時の血液でお子さまに感染が生じ急性肝炎・劇症肝炎などを引き起こさないよう出生直後から対応する必要があるからです。
現在では一人の患者様に対し、注射に用いる物品は全て単回使用が必須ですが、1988(昭和63)年頃までは、複数人に同じ物品を用いて注射を行っており、それが原因でHBVへ感染し発症した人もおり、給付金などの特別措置が日本では取られています。血液だけでなく体液(汗、涙、唾液、尿など)に接触するような「性行為」「血液透析」「歯科治療」「入れ墨」「ピアス」「針刺し事故」「歯ブラシ」「コンタクトスポーツ(他者と接触するようなスポーツ)」などが感染経路として報告されています。母子感染予防のみでは防げない集団感染や母子以外の家族からの感染を予防するために、乳児期からのワクチン接種で抗体をつけていく必要があります。
B型肝炎ワクチンは、免疫を獲得すると20~30年以上にわたってHBVに触れる機会があっても、急性肝炎や慢性B型肝炎の発症予防の効果が認められているワクチンです。一般的な予防接種スケジュールでは、生後2ヶ月・生後3か月・生後7か月の合計3回の接種が必要になります。1回目のワクチン接種と3回目の接種は、既定の間隔をあける必要があり、定期接種として接種できる年齢は1歳の誕生日を迎える前日までという制限があります。接種忘れなどに気付いたら早めに接種を行いましょう。
前回掲載したロタウイルスワクチンとヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンと同時に接種が可能なワクチンとなります。
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