四種混合ワクチンについて💉

当院では、各種予防接種を受けることができます。現在の定期予防接種は生後2ヶ月からが開始するのが一般的になっています。生後2ヶ月からできる予防接種のひとつに四種混合ワクチンがあります。
四種混合ワクチンには、百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ(急性灰白髄炎)の4種類の疾患を予防するワクチンです。
百日咳は、百日咳菌およびパラ百日咳菌による感染症で、急性の気道感染症です。約7~10日間の潜伏期を経て、カタル症状(38℃前後の発熱・咳・鼻汁・くしゃみ・結膜充血・眼脂など)で発症します。その後咳が激しくなり、とくに1歳(生後6か月)以下の乳児で発症すると致命率も高く、激しい咳の為に呼吸ができなくなり全身が青紫色になったり(チアノーゼ)、けいれんを引き起こしたりするなど重篤な症状が起き注意が必要です。
ジフテリアは、ジフテリア菌による感染症で約2~5日間の潜伏期を経て、発熱・咽頭痛・嚥下痛などで発症します。さまざまな病型があり、鼻ジフテリア、扁桃・咽頭ジフテリア、喉頭ジフテリアなどで、喉などで菌が毒素を出すことで、眼球や横隔膜などの麻痺、心不全などを起こし、重篤になるとなくなる場合がある病気です。日本では1999年の岐阜県での死亡例(1人)を最後に患者報告はありません。
百日咳・ジフテリアの感染経路は、おもに気道の分泌物とされています。
破傷風は、破傷風菌が産生する破傷風毒素により発症する感染症で、約3~21日間の潜伏期を経て、開口障害、首筋が張るなどの症状で発症し、次第に顔の筋肉が引きつって痙笑(けいしょう:ひきつり笑い)と呼ばれる特徴的な表情が現れます。そのあと、頸部から背部にかけての筋肉がひきつり全身性の筋硬直が起こり、窒息によって死亡する危険も高くなる病気です。筋肉のけいれんが十分に戻るまでには時間を要するため、発症すると長期間の入院が必要になります。破傷風菌は土壌中に存在し、傷口から侵入するとされており、日本でも2011年の東日本大震災、2018年の西日本豪雨において破傷風の患者が被災地から報告されています。世界中の多くの地で破傷風菌は生息しており、破傷風に対する免疫がなければ世界のどこでも感染、発症の恐れがあります。
ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスが口から侵入し、腸で増殖することで感染します。感染した人の便の中のウイルスを介して感染が拡大します。感染者の90~95%は全くの無症状の「不顕性感染」で、約5%が感染後、約5日前後の潜伏期を経て、軽度の発熱、不快感、頭痛、眠気、咽頭痛などを示す「不全型」となります。また、感染者の1~2%で発熱、嘔気・嘔吐、項部硬直、四肢痛などを示す「髄膜炎」がみられます。ウイルスが腸から脊髄の一部に入り込むと四肢に左右非対称の弛緩性麻痺を生じ、後遺症として運動障害を起こします。かつては小児での患者が多く別名「小児まひ」とも呼ばれます。しかし小児に限った病気ではありません。
四種混合ワクチンは、これらの病気を予防することが認められているワクチンです。生後2ヶ月~1歳6か月ごろまでの4回接種をすると100%免疫抗体がつくとされます。しかし抗体の持続期間は長期ではなく、百日咳・ジフテリア・破傷風は約10年で免疫効果が減弱するとされます。そのため、近年では学童期での三種混合ワクチンの追加接種を推奨されています。接種は任意接種となるため自費での接種となります。
ポリオ(急性灰白髄炎)は、さらに免疫効果が短く、就学前(4~6歳)の不活化ポリオ(単独)ワクチンの追加接種が厚労省で検討されています。
一般的な予防接種スケジュールでは、生後2ヶ月・生後3か月・生後4か月と1歳6か月ごろの合計4回の接種が必要になります。四種混合ワクチンを定期接種で受けられる年齢に制限がありますので、接種忘れなどに気付いたら早めに接種を行いましょう。
前回掲載したロタウイルスワクチンとヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンと同時に接種が可能なワクチンとなります。
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