咳が2週間以上続く…岡山市で百日咳が疑われるとき
「少し前に風邪をひいたはずなのに、咳だけがずっと続いている…」「なんだか咳の仕方がいつもと違うような気がして心配…」そんな風に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、咳が2週間以上も長引くと、お子さん自身もつらそうですし、保護者の方も「もしかして、ただの風邪じゃない?」と不安になりますよね。
実は、岡山市内でも「百日咳」の報告が増える時期があります。今回は、長引く咳の背景にあるかもしれない百日咳について、その特徴や対応方法をわかりやすくお伝えします。
百日咳ってどんな病気?ただの風邪とどう違うの?
百日咳は、百日咳菌という細菌が気管や気管支に感染して起こる呼吸器感染症です。名前の通り、咳が長く続くのが最大の特徴で、初期は普通の風邪と区別がつきにくいことが多いです。
風邪の咳が通常1週間〜10日程度で落ち着くのに対し、百日咳では「コンコンコン」と激しい咳が連続して出る「発作性けい咳」が起こり、その後に「ヒュー」という笛のような音を立てて息を吸い込む「吸気性笛声」が聞かれることがあります。夜間や早朝に咳き込むことが多く、咳の発作のせいで眠れなくなったり、嘔吐してしまったりすることもあります。
特に乳児期の子どもは、咳の発作で顔が真っ赤になったり、呼吸が止まってしまったりすることもあるため、非常に注意が必要です。一般的な風邪薬は効果がありませんので、「風邪かな?」と思って市販薬を飲ませているけれど一向に良くならない、という場合は百日咳の可能性も視野に入れる必要があります。
もしかして百日咳…?受診の目安とタイミング
「なんだかいつもと違う」と保護者の方が感じたときが、受診を考える一番のタイミングです。具体的に以下のような症状がみられたら、早めに小児科を受診しましょう。
- 激しい咳が2週間以上続いている:一度咳が出始めると止まらず、連続して咳き込んでいる
- 咳の後に「ヒュー」と音がする:咳き込んだ後に息を吸うときに特徴的な音が聞こえる
- 咳き込みすぎて嘔吐してしまう:特に食事後や夜間に激しく咳き込んで、食べたものを吐いてしまう
- 咳き込みで顔が真っ赤、または紫色になる:呼吸がうまくできていないサインかもしれません
- 生後6ヶ月未満の乳児の激しい咳:乳児では特徴的な咳が出ないこともあり、重症化しやすいため、咳が続く場合はすぐに受診してください。
百日咳は、抗菌薬によって治療できます。咳が始まってから時間が経つと抗菌薬の効果が薄れてしまうため、できるだけ早い段階で診断し、治療を開始することが大切です。
自宅でできるケアと注意点
百日咳が疑われる場合、あるいは診断された場合でも、ご自宅でできるケアはあります。
- 安静にする:激しい咳の発作は体力を消耗します。お子さんが安心して休める環境を整えてあげましょう。
- 湿度を保つ:乾燥していると咳が出やすくなります。加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりして、室内の湿度を50〜60%に保ちましょう。
- こまめな水分補給:咳き込むことで喉が乾燥しやすくなります。少量ずつでもこまめに水分を摂らせてあげてください。
- 食事は消化の良いものを:咳き込みで嘔吐しやすいので、一度にたくさん食べさせず、消化の良いものを少しずつ与えましょう。
また、ご家族でうつさないよう、手洗いやマスクの着用を徹底しましょう。百日咳は感染力が非常に強いので、きょうだいへの感染にも注意が必要です。
岡山市での百日咳の現状と予防策
百日咳は、残念ながらワクチンを接種していても感染することがあります。ただし、ワクチンを接種していると、症状が軽く済んだり、発作性の咳が出にくくなったりする効果が期待できます。日本の予防接種スケジュールでは、生後3ヶ月から百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオの混合ワクチン(DPT-IPV)を接種します。スケジュール通りに接種を受けているか、母子手帳で一度確認してみましょう。(だだし、三種混合ワクチンは現在品薄になっています。)
岡山市でも百日咳の流行がみられる時期があり、特に小学生以上の年齢層でも感染することが増えています。乳児への感染源となることもあるため、保護者の方やご家族も、もし咳が長引いている場合は医療機関に相談することが大切です。
登園・登校はいつから?判断のポイント
百日咳と診断された場合、登園・登校は主治医の判断に従うことになります。百日咳は、特に咳の発作が始まってから2週間程度は他の人に感染させる可能性が高いとされています。
学校保健安全法では、百日咳は「第2種感染症」に分類されており、特有の咳が消失するまで、または5日間の適切な抗菌薬治療が終了するまで出席停止となります。これは、他のお子さんへの感染を防ぐためです。
「いつから登園していいのか」という判断は、お子さんの症状や治療の進捗によって異なりますので、必ずかかりつけ医にご相談ください。勝手な判断で登園させず、医師の許可を得てから再開するようにしましょう。
まとめ
長引く咳は、お子さんにとっても保護者の方にとっても大きな負担となります。岡山市南区の子どもたちの間でも、季節や環境の変化で咳の症状を訴えるお子さんは少なくありません。もし、お子さんの咳が2週間以上続いている、あるいは咳の仕方がいつもと違うと感じたら、「ただの風邪だから…」と様子を見すぎずに、一度お気軽に当院にご相談ください。
お子さんの「いつもと違う」サインを見逃さず、一人で悩まずに小児科医を頼ってください。地域の皆様のかかりつけ医として、にじいろクリニックはいつでも皆様に寄り添います。