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もしかしてインフルエンザ?受診判断ポイント

今、当院で発熱で受診されるお子さまの中でインフルエンザの診断を受ける患者さまが増加傾向です。
季節の変わり目や冬本番に流行がみられる疾患ですが、予防のワクチンもまだ開始されていない季節外れのインフルエンザの流行は心配ですよね。
「もしかしてインフルエンザかも…?」と思う急な高熱、ぐったりした様子、節々の痛みなどで見るからにつらそうな子どもの姿に、どうしてあげたらいいかわからず、不安でいっぱいになりますよね。

特に、周りの保育園や学校でインフルエンザが流行していると、なおさら「うちの子もかな?」と不安になってしまうことでしょう。発熱してすぐに病院に行くべきか、それとも少し様子を見るべきか。この記事では、そんな時に役立つ「インフルエンザの受診判断ポイント」を、小児科医の視点からわかりやすくお伝えします。

症状から見分ける!インフルエンザの初期サインとは?
「高熱が出たらすぐにインフルエンザ!」と決めつける前に、まずは症状を冷静に観察してみましょう。インフルエンザの初期症状は、風邪とは少し異なる特徴があります。

風邪はのどの痛みや鼻水、くしゃみから徐々に始まることが多いですが、インフルエンザは突然38℃以上の高熱が出て、寒気や全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛を伴うのが典型的です。小さなお子さんの場合は、これらの症状を言葉でうまく伝えられないため、「いつもより機嫌が悪い」「ぐったりして食欲がない」といった様子で気づくことが多いでしょう。また、嘔吐や下痢といった消化器症状が見られることもあります。

周りでインフルエンザが流行しているかどうかも重要な判断材料です。もし、お子さんの通う園や学校で複数の感染者が出ている場合は、インフルエンザの可能性が高いと考えられます。まずは落ち着いて、お子さんの症状と周囲の状況を合わせて確認してみてください。

検査はいつ受けるべき?インフルエンザ検査のベストタイミング
「すぐにでも検査して、はっきりさせたい!」そう思うのが親心ですよね。しかし、発熱してすぐのタイミングでは、インフルエンザの検査をしても正確な結果が出ないことがあります。

インフルエンザの検査は、鼻の奥の粘液を採取してウイルスがいるかどうかを調べる「迅速抗原検査」が主流です。この検査は、体内のウイルス量がある程度増えていないと陽性になりにくいという特性があります。一般的に、発熱してから12時間〜48時間以内が最も正確な検査結果を得られるとされています。発熱後すぐに来院された場合、陰性であっても翌日には陽性になる可能性があるため、お子さんの状態と相談しながら、検査のタイミングを判断することが大切です。

ただし、ぐったりしている、水分が全く摂れない、痙攣(けいれん)を起こした、呼びかけへの反応が鈍いなど、お子さんの全身状態が悪い場合は、時間に関わらずすぐに受診してください。

重症化が心配…すぐに病院に行くべき危険なサイン
インフルエンザは、特に小さなお子さんがかかると、肺炎やインフルエンザ脳症といった重い合併症を引き起こすことがあります。次のようないつもと違う様子が見られた場合は、様子を見ずにすぐに受診してください。

意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない、うわごとを言う

ぐったりしていて、水分がほとんど摂れない

呼吸が苦しそう、肩で息をしている

顔色が悪い、唇が紫色になっている

痙攣(けいれん)を起こした

繰り返しの嘔吐や下痢が続き、脱水症状がみられる

これらの症状は、お子さんの体が助けを求めているサインです。夜間や休日でも、救急医療機関を利用するなどして、ためらわずに受診してください。いざという時のために、かかりつけ医の休診日や夜間・休日の連絡先を控えておくと安心です。

自宅でできるケアと注意点
インフルエンザの診断がついたら、病院でもらったお薬を指示通りに服用しつつ、自宅でのケアも大切です。

水分補給をこまめに
高熱が続くと脱水になりやすいので、こまめな水分補給が最も重要です。一度にたくさん飲ませるのではなく、スプーン1杯ずつなど、少しずつ頻回に飲ませてあげましょう。経口補水液や薄めたスポーツドリンク、果汁などがおすすめです。

しっかり休ませる
高熱がある間は無理に食べさせず、とにかく安静にして体を休ませてあげてください。消化の良いものを少しずつ摂り、エネルギーを補給しましょう。

室内の環境を整える
加湿器などを使い、湿度を50~60%に保つと良いでしょう。こまめに換気も行い、部屋の空気を入れ替えることも大切です。

解熱剤の適切な使用
熱のせいで眠れない、食事が摂れないなど、つらそうにしている場合に解熱剤を使いましょう。ただし、使用間隔は必ず6時間以上あけ、医師の指示を守ってください。

登園・登校はいつから?判断の目安について
インフルエンザは感染力が非常に強いため、学校保健安全法に基づき、出席停止期間が定められています。

「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日(未就学児)または2日(小学生以上)を経過するまで」

この2つの条件をどちらも満たしてから登園・登校が可能となります。例えば、月曜日に発熱(発症)し、水曜日に解熱した場合でも、発症から5日を経過した土曜日までは休む必要があります。また、熱が下がっても、元気がない、食欲がないなど、本調子でない場合は、無理せずにもう少し自宅で様子を見るようにしましょう。

登園・登校を再開する際は、必ず医師が記入する「治癒証明書」や保護者が記入する「登園許可書」が必要となる場合が多いので、園や学校の指示に従って準備してください。

まとめ
インフルエンザの急な発熱は、保護者の方にとって非常に不安な出来事です。しかし、まずは落ち着いてお子さんの症状をよく観察し、受診のタイミングや自宅でのケアを適切に行うことが大切です。

岡山市南区にお住まいの子育て世代の皆様が安心して育児に取り組めるよう、私たち「にじいろクリニック」はいつも皆さまのそばにいます。少しでも「あれ?」と感じることがあれば、一人で悩まず、いつでもお気軽にご相談ください。

季節の変わり目に増える「頭痛」の原因と対策

季節の変わり目に増える「頭痛」の原因と対策

 

「なんだか最近、頭が重い…」「天気が崩れると、いつも頭痛がする…」そんな風に感じていませんか?

岡山市南区にお住まいの皆さんも、季節の変わり目には体調の変化を感じやすいかもしれません。特に、朝晩の寒暖差が大きい日や、天気が不安定な時期には、頭痛に悩まされる方が増えます。ただの気のせいだろうと放置しがちなその不調、もしかしたら体のサインかもしれません。今回は、季節の変わり目に起こる頭痛の原因と、日々の生活でできる対策についてお話しします。

 

天気予報士は頭痛持ち!?「気象病」って何?

 

「明日は雨が降りそう…」と、頭痛で天気の変化を感じる人がいるように、気圧や気温、湿度の変化が原因で起こる体調不良を「気象病」と呼びます。中でも最も多い症状が頭痛です。気圧が急に下がると、体の外からの圧力が弱まり、血管が膨張しやすくなります。この膨張が脳の血管の周りにある神経を刺激し、頭痛を引き起こすと考えられています。

特に、季節の変わり目は高気圧と低気圧が頻繁に入れ替わり、気圧の変化が大きくなります。また、岡山市南区のように海に近い地域では、湿度の変化も加わり、より体の不調を感じやすくなる方もいらっしゃいます。内耳にある「気圧センサー」が過剰に反応すると、自律神経のバランスが乱れ、頭痛だけでなくめまいやだるさなども引き起こすことがあるのです。

 

ストレスと睡眠不足が頭痛を悪化させる?

 

季節の変わり目の頭痛は、気圧の変化だけでなく、生活習慣やストレスも深く関係しています。例えば、新しい環境への適応や、日々の仕事・家事による精神的な負担は、気づかないうちに自律神経を乱してしまいます。自律神経が乱れると、筋肉が緊張し、血行が悪くなって、首や肩のコリからくる「緊張型頭痛」を引き起こすことがあります。

また、睡眠不足や寝すぎも頭痛の大きな原因です。特に片頭痛をお持ちの方は、睡眠時間が不規則になると頭痛発作が起きやすくなることが知られています。岡山市南区は、市街地へのアクセスも良く、忙しい日々を送る方も多いかもしれません。ついつい無理をしてしまいがちですが、十分な休息を取ることが、頭痛の予防には非常に大切です。日々の生活で感じるストレスを溜め込まず、上手に発散する方法を見つけましょう。

 

いますぐできる!日常で取り入れたい頭痛対策3選

 

季節の変わり目の頭痛を少しでも和らげるために、すぐに始められる対策を3つご紹介します。

  1. 規則正しい生活を心がける:朝は決まった時間に起きて日光を浴び、夜はリラックスして過ごすなど、規則正しい生活リズムは自律神経を整える基本です。
  2. 適度な運動と入浴:ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことは、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのも効果的です。
  3. 耳のマッサージ:耳の奥にある内耳は気圧の変化を感じ取るセンサーです。耳たぶを軽く引っ張ったり、耳全体を優しく回したりするマッサージで、血行を良くすることが頭痛の緩和につながることがあります。

これらの対策は、日々の生活の中で無理なく続けられるものばかりです。ぜひ、ご自身のペースで取り入れてみてください。

 

薬を飲んでも治らない…その頭痛、もしかして?

 

市販の鎮痛剤を飲んでも痛みが繰り返される、どんどん症状がひどくなってきた、という場合は注意が必要です。頭痛には、気象病やストレスが原因となる「一次性頭痛」の他に、脳の病気などが原因で起こる「二次性頭痛」があります。

例えば、「今までに経験したことのないような激しい頭痛」「手足のしびれや麻痺を伴う頭痛」「高熱を伴う頭痛」などは、放置すると危険な場合があります。このような症状がある場合は、自己判断せず、すぐに医療機関を受診することが大切です。単なる頭痛だと思っていたら、実は別の病気が隠れていたというケースも少なくありません。

 

専門医に相談して、自分に合った解決策を見つけましょう

 

頭痛は、患者さん一人ひとりによって原因や症状が異なります。市販薬を服用しても改善が見られない場合や、頻繁に頭痛が起きる場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。岡山市南区にあります当クリニックでは、患者さんの生活習慣や症状を丁寧に伺い、一人ひとりに合った原因究明と対策を一緒に考えます。

「この頭痛とはもう長く付き合っているから…」と諦める必要はありません。まずは原因を特定し、適切な治療や生活指導を行うことで、頭痛の回数を減らしたり、痛みを和らげたりすることができます。

 

まとめ

 

季節の変わり目に感じる頭痛は、気象の変化やストレス、生活習慣の乱れなど、様々な要因が絡み合って起こることが多いものです。日々のセルフケアで改善できることもありますが、もし痛みがひどい、頻繁に起こる、いつもと違う症状がある場合は、放置せずに医療機関にご相談ください。

にじいろクリニックは、岡山市南区の皆さまの健康をサポートする「かかりつけ医」として、お悩みに寄り添います。頭痛で悩む日々から解放され、心身ともに軽やかな毎日を過ごせるよう、一緒に向き合っていきましょう。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。


【カテゴリ】 内科、頭痛、気象病、生活習慣、健康チェック、岡山市南区

【タグ】 高血圧、頭痛、めまい、自律神経、季節の変わり目、生活習慣病、岡山市南区、健康相談、にじいろクリニック

 

 

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突然の熱性けいれんにどう対応する?聞かれる対処法

「いつも通り元気だったのに、急に体がガクガク震えだして…」「目を白黒させて意識がなくなって、どうしたらいいか分からなかった」。熱性けいれんについて、このようなご相談をいただくことがあります。熱性けいれんは、初めて目の当たりにすると誰でもパニックになってしまうものです。お子さんの突然の異変に直面したとき、どのように対応すれば良いのか、そして日頃からどのような心構えでいれば良いのか、一緒に考えていきましょう。

 

熱性けいれんってどんなもの?慌てずに見極めるポイント

熱性けいれんとは、生後6ヶ月から5歳くらいまでの子どもが、急な発熱に伴って引き起こすけいれん発作のことです。高熱が出たときによく見られ、全身がガクガクと震えたり、硬直したりします。多くの場合、発作は数分以内(5分未満)で自然に治まります。初めて見ると、本当にびっくりしてしまいますよね。まず大切なのは、慌てずに発作の様子をしっかり観察することです。具体的には、次の3つのポイントを覚えておきましょう。

  • けいれんが始まった時間と終わった時間を正確に記録する:いつからけいれんが始まったか、何分続いたか。スマートフォンなどで動画を撮っておくと、後で医師に見せるときに非常に役立ちます。
  • 体のどの部分がけいれんしているか:全身か、それとも手足など体の一部か。
  • けいれんしている間の意識の状態:呼びかけに反応するか、目がどこを向いているか。

これらの情報は、診察の際に医師が適切な判断をするための重要な手がかりになります。落ち着いて行動することが、お子さんを守る第一歩です。

 

発作が起きたときの「絶対にやってはいけないこと」と「やるべきこと」

いざというときのために、発作時の正しい対処法を知っておくことはとても重要です。つい慌ててしまいがちですが、「やってはいけないこと」を先に知っておくことで、お子さんを危険から守ることができます。

<絶対にやってはいけないこと>

  1. 体を強く揺さぶったり、押さえつけたりする:発作を無理に止めようとすると、骨折などのけがにつながる危険があります。
  2. 口の中に指やスプーンなどを入れる:舌を噛むことを心配して何かを口に入れようとすると、窒息の危険があります。
  3. 大声で名前を呼んだり、頬を叩いたりする:発作中は意識がないため、呼びかけても意味がありません。

<発作が起きたときのやるべきこと>

  1. お子さんの安全を確保する:硬い床や家具から離れた安全な場所に寝かせ、頭の下にタオルなどを敷いて保護しましょう。
  2. 顔を横向きにする:吐物や唾液が喉に詰まらないように、顔を横に向けて気道を確保します。
  3. 衣服を緩める:首周りや胸元を緩めて、呼吸を楽にさせてあげましょう。

焦る気持ちをぐっとこらえて、落ち着いてこれらの対応を実践してください。

 

どのタイミングで病院に行くべき?受診の目安と救急車の判断

熱性けいれんは多くの場合、発作が治まれば大事には至りませんが、中にはすぐに医療機関を受診する必要があるケースもあります。「けいれんがおさまった後、すぐに病院に行くべき?」と迷われる方も多いでしょう。

<すぐに病院を受診する目安>

  • 発作が5分以上続く場合:長引くけいれんは脳に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
  • けいれんが2回以上繰り返す場合:一度治まった後に、再びけいれんが始まる場合は、医師の診断が必要です。
  • 意識がはっきりしない時間が長い場合:発作後もぼんやりしていて、呼びかけに反応しない状態が続く場合は、受診を検討しましょう。
  • 生後6ヶ月未満または6歳以上の熱性けいれん:この年齢層での発作は、熱性けいれんではない可能性も考慮する必要があります。
  • 左右対称ではないけいれん:片側の手足だけがけいれんするなど、体の左右で差がある場合は注意が必要です。

これらのケースに当てはまる場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。特に、発作が5分以上続く場合は、迷わず救急車を呼ぶことが大切です。

 

繰り返す熱性けいれん…予防法や日常でできる備え

一度熱性けいれんを起こしたお子さんは、約3人に1人が再びけいれんを起こすと言われています。初めての熱性けいれんを経験すると、「またいつか起きてしまうのでは…」と不安に思う方も多いでしょう。予防策と日常的な備えについてご紹介します。

<熱性けいれんの予防法>

  • 解熱剤の適切な使用:かかりつけ医から処方された解熱剤は、熱が上がってきたとき(特に38.5℃以上)に適切に使用することで、急激な体温上昇を抑え、けいれんの予防につながることがあります。自己判断ではなく、医師の指示に従いましょう。
  • けいれん予防薬:医師の判断により、ジアゼパム坐剤(けいれんを予防する座薬)が処方されることがあります。発熱時に予防的に使用することで、けいれんを予防できます。

<日常でできる備え>

  • 体温計を常に準備しておく:お子さんが熱を出したときに、すぐに体温を測れるようにしておきましょう。
  • かかりつけ医の連絡先を確認する:夜間や休日でも連絡が取れる、地域の夜間救急診療所などの情報を把握しておくと安心です。
  • 家族みんなで情報を共有する:ご両親だけでなく、祖父母や保育園・幼稚園の先生など、お子さんに関わる人々にも熱性けいれんの既往歴を伝えておきましょう。

こうした日頃からの備えが、いざというときの心のゆとりにつながります。

 

保護者の方へ:地域の流行情報と小児科受診のタイミング

熱性けいれんは、急な発熱を伴う病気がきっかけで起こることがほとんどです。季節の変わり目にRSウイルスやインフルエンザ、アデノウイルスなどによる風邪が流行することがあります。これらのウイルス感染症は、突然の高熱が出ることが多いため、熱性けいれんを起こすきっかけになりやすいと言えます。

「うちの子、熱性けいれんを起こしたことがあるけど、今回も発熱したから心配…」という場合は、早めにかかりつけの小児科に相談することをおすすめします。特に、前回発作を起こしたときの状況や、お子さんの体質をよく知っている小児科医に診てもらうことで、いざというときの対応策を具体的に教えてもらうことができます。また、必要に応じて熱性けいれん予防の座薬を処方してもらうことも可能です。お子さんの些細な変化でも不安に感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

【まとめ】

お子さんの熱性けいれんは、保護者の方にとって非常に大きな不安とストレスをもたらします。しかし、ほとんどの場合は、お子さんの成長過程で起こる一過性の現象です。大切なのは、発作が起きたときに冷静に対応できる知識と心の準備をしておくこと。そして、不安な気持ちを一人で抱え込まず、かかりつけの小児科医にいつでも相談できる環境を整えておくことです。岡山市にお住まいのご家族の皆さん、何かご不安なことがあれば、いつでも当クリニックにご相談ください。皆さんの子育てが少しでも安心できるものになるよう、私たち小児科医がお手伝いします。