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増えている「良性発作性頭位めまい症」って何?

増えている「良性発作性頭位めまい症」って何?

 

「朝、起きて体を起こしたら、世界がぐるぐる回った」「寝返りを打っただけで、天井がぐらぐら揺れる」 もし、そんな経験があったら、それはもしかすると「良性発作性頭位めまい症」かもしれません。 岡山市南区にお住まいの皆さんも、日々の生活の中で、このような突然のめまいに驚いた経験はありませんか? この病気は、命に関わるものではありませんが、突然の強いめまいに不安を感じ、日常生活に支障をきたす方も少なくありません。 今回は、そんな「良性発作性頭位めまい症」について、岡山市南区の生活に寄り添いながら、その正体と対策をやさしく解説していきます。

 

朝起きたら「ぐるぐる」…それって、ただの寝不足じゃないかも?

 

「めまい」と聞くと、多くの人が「立ちくらみ」や「貧血」を思い浮かべるかもしれません。しかし、「良性発作性頭位めまい症」のめまいは、それらとは少し違います。特徴的なのは、特定の頭の位置や動きでめまいが誘発されることです。例えば、朝ベッドから起き上がる時、寝返りを打つ時、洗面台で下を向く時など、頭を動かしたときに、景色がぐるぐると回転するような感覚に襲われます。

めまいは長くても数分以内で治まることがほとんどで、じっとしていれば落ち着くため、「気のせいかな」「疲れているのかな」と放置してしまう方も少なくありません。しかし、その強い回転性のめまいは、想像以上に不安や恐怖を伴うものです。突然の強いめまいに、救急車を呼ぶ方もいるほどです。もし、このような特徴的なめまいの症状に心当たりがあるなら、それは単なる寝不足や疲れではなく、体のSOSかもしれません。

 

そもそも「良性発作性頭位めまい症」って何が原因?

 

この病気の原因は、耳の奥にある「内耳」の異常です。内耳には、体の平衡感覚を司る「三半規管」という器官があり、その隣には「耳石器」という、重力を感知する器官があります。耳石器の中には、「耳石(じせき)」と呼ばれる小さなカルシウムの粒がたくさん入っています。

この耳石が何らかの原因で剥がれ落ち、三半規管の中に入り込んでしまうことでめまいが起こります。頭を動かすと、三半規管に入り込んだ耳石がまるで水の中を漂う小石のように動き、その動きを体の傾きだと誤って脳に伝えてしまうのです。その結果、頭は動いていないのに、景色がぐるぐる回るようなめまいが発生します。

耳石が剥がれ落ちる原因ははっきりしないことも多いですが、加齢や、長時間同じ姿勢でいること、運動不足などが関連していると言われています。

 

岡山市南区のライフスタイルと「めまい」の関係

 

岡山市南区は、市街地から少し離れ、豊かな自然と住宅街が広がる地域です。近年は在宅ワークやリモートワークの普及も進み、ご自宅で過ごす時間が増えた方も多いのではないでしょうか。

長時間デスクワークをしたり、スマートフォンの画面を長時間見続けたりすると、どうしても頭の位置が固定されがちになります。また、腰痛などの理由から、就寝中に寝返りが少ない方もいらっしゃるかもしれません。こうした頭をあまり動かさない生活習慣は、耳石が剥がれ落ちて三半規管にたまりやすくなる一因と考えられています。

「最近、家で過ごす時間が増えたなぁ」「運動不足かもしれない」と感じている方は、知らず知らずのうちに、めまいが起こりやすい体の状態になっている可能性があります。日々の生活習慣を見直すことが、めまいの予防につながる第一歩です。

 

めまいが起きたときの「やってはいけないこと」と正しい対処法

 

めまいが起きると、強い不安からじっと動かずに横になってしまう方が多いかもしれません。しかし、良性発作性頭位めまい症の場合、この対処は逆効果になることがあります。なぜなら、三半規管に入った耳石は、動くことで元の場所に戻りやすくなるからです。

もちろん、めまいが強い時は無理に動く必要はありませんが、症状が少し落ち着いたら、体を動かすリハビリが有効です。具体的な方法としては、「頭位治療」という、医師の指導のもとで頭を特定の位置に動かす運動があります。また、普段から適度な運動を取り入れ、寝る前には軽く寝返りを打つなど、意識的に体を動かす習慣をつけることも大切です。

不安な気持ちからめまいを避けるために外出を控えたり、生活範囲を狭めてしまう方もいますが、それは結果的に症状の改善を妨げることになります。

 

専門家だからこそできる「めまいの見極め」と安心のサポート

 

めまいは、「良性発作性頭位めまい症」以外にも、様々な病気が原因で起こることがあります。中には、脳梗塞など命に関わる病気のサインである場合も否定できません。

そのため、めまいの症状がある時は、自己判断せずに専門の医療機関を受診することが非常に重要です。当院では、めまいを単なる症状として捉えるのではなく、その背景にある体の状態や原因を丁寧に見極める診療を心がけています。内科的視点から、採血や心電図など、必要に応じた検査を行い、めまいの原因がどこにあるのかを総合的に判断します。

そして、良性発作性頭位めまい症と診断された場合は、正しい治療法や生活上の注意点について、一人ひとりの患者さんに合わせた具体的なアドバイスを提供します。

 

まとめ|岡山市南区の皆さんの「安心」を支えます

 

「まさか自分が…」と思いがちですが、めまいは誰にでも起こりうる身近な症状です。特に、突然のめまいは、今後の生活への不安につながることも少なくありません。

岡山市南区「にじいろクリニック」は、地域のかかりつけ医として、皆さんの不安な気持ちに寄り添い、めまいの原因を一緒に見つけ、最適なサポートを提供します。「これは何だろう?」と少しでも気になったら、まずは一人で悩まずにご相談ください。あなたの「安心」を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

 

咳が2週間以上続く…岡山市で百日咳が疑われるときは?

咳が2週間以上続く…岡山市で百日咳が疑われるとき

 

「少し前に風邪をひいたはずなのに、咳だけがずっと続いている…」「なんだか咳の仕方がいつもと違うような気がして心配…」そんな風に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、咳が2週間以上も長引くと、お子さん自身もつらそうですし、保護者の方も「もしかして、ただの風邪じゃない?」と不安になりますよね。

実は、岡山市内でも「百日咳」の報告が増える時期があります。今回は、長引く咳の背景にあるかもしれない百日咳について、その特徴や対応方法をわかりやすくお伝えします。

 

百日咳ってどんな病気?ただの風邪とどう違うの?

 

百日咳は、百日咳菌という細菌が気管や気管支に感染して起こる呼吸器感染症です。名前の通り、咳が長く続くのが最大の特徴で、初期は普通の風邪と区別がつきにくいことが多いです。

風邪の咳が通常1週間〜10日程度で落ち着くのに対し、百日咳では「コンコンコン」と激しい咳が連続して出る「発作性けい咳」が起こり、その後に「ヒュー」という笛のような音を立てて息を吸い込む「吸気性笛声」が聞かれることがあります。夜間や早朝に咳き込むことが多く、咳の発作のせいで眠れなくなったり、嘔吐してしまったりすることもあります。

特に乳児期の子どもは、咳の発作で顔が真っ赤になったり、呼吸が止まってしまったりすることもあるため、非常に注意が必要です。一般的な風邪薬は効果がありませんので、「風邪かな?」と思って市販薬を飲ませているけれど一向に良くならない、という場合は百日咳の可能性も視野に入れる必要があります。

 

もしかして百日咳…?受診の目安とタイミング

 

「なんだかいつもと違う」と保護者の方が感じたときが、受診を考える一番のタイミングです。具体的に以下のような症状がみられたら、早めに小児科を受診しましょう。

  • 激しい咳が2週間以上続いている:一度咳が出始めると止まらず、連続して咳き込んでいる
  • 咳の後に「ヒュー」と音がする:咳き込んだ後に息を吸うときに特徴的な音が聞こえる
  • 咳き込みすぎて嘔吐してしまう:特に食事後や夜間に激しく咳き込んで、食べたものを吐いてしまう
  • 咳き込みで顔が真っ赤、または紫色になる:呼吸がうまくできていないサインかもしれません
  • 生後6ヶ月未満の乳児の激しい咳:乳児では特徴的な咳が出ないこともあり、重症化しやすいため、咳が続く場合はすぐに受診してください。

百日咳は、抗菌薬によって治療できます。咳が始まってから時間が経つと抗菌薬の効果が薄れてしまうため、できるだけ早い段階で診断し、治療を開始することが大切です。

 

自宅でできるケアと注意点

 

百日咳が疑われる場合、あるいは診断された場合でも、ご自宅でできるケアはあります。

  1. 安静にする:激しい咳の発作は体力を消耗します。お子さんが安心して休める環境を整えてあげましょう。
  2. 湿度を保つ:乾燥していると咳が出やすくなります。加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりして、室内の湿度を50〜60%に保ちましょう。
  3. こまめな水分補給:咳き込むことで喉が乾燥しやすくなります。少量ずつでもこまめに水分を摂らせてあげてください。
  4. 食事は消化の良いものを:咳き込みで嘔吐しやすいので、一度にたくさん食べさせず、消化の良いものを少しずつ与えましょう。

また、ご家族でうつさないよう、手洗いやマスクの着用を徹底しましょう。百日咳は感染力が非常に強いので、きょうだいへの感染にも注意が必要です。

 

岡山市での百日咳の現状と予防策

 

百日咳は、残念ながらワクチンを接種していても感染することがあります。ただし、ワクチンを接種していると、症状が軽く済んだり、発作性の咳が出にくくなったりする効果が期待できます。日本の予防接種スケジュールでは、生後3ヶ月から百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオの混合ワクチン(DPT-IPV)を接種します。スケジュール通りに接種を受けているか、母子手帳で一度確認してみましょう。(だだし、三種混合ワクチンは現在品薄になっています。)

岡山市でも百日咳の流行がみられる時期があり、特に小学生以上の年齢層でも感染することが増えています。乳児への感染源となることもあるため、保護者の方やご家族も、もし咳が長引いている場合は医療機関に相談することが大切です。

 

登園・登校はいつから?判断のポイント

 

百日咳と診断された場合、登園・登校は主治医の判断に従うことになります。百日咳は、特に咳の発作が始まってから2週間程度は他の人に感染させる可能性が高いとされています。

学校保健安全法では、百日咳は「第2種感染症」に分類されており、特有の咳が消失するまで、または5日間の適切な抗菌薬治療が終了するまで出席停止となります。これは、他のお子さんへの感染を防ぐためです。

「いつから登園していいのか」という判断は、お子さんの症状や治療の進捗によって異なりますので、必ずかかりつけ医にご相談ください。勝手な判断で登園させず、医師の許可を得てから再開するようにしましょう。

 

まとめ

 

長引く咳は、お子さんにとっても保護者の方にとっても大きな負担となります。岡山市南区の子どもたちの間でも、季節や環境の変化で咳の症状を訴えるお子さんは少なくありません。もし、お子さんの咳が2週間以上続いている、あるいは咳の仕方がいつもと違うと感じたら、「ただの風邪だから…」と様子を見すぎずに、一度お気軽に当院にご相談ください。

お子さんの「いつもと違う」サインを見逃さず、一人で悩まずに小児科医を頼ってください。地域の皆様のかかりつけ医として、にじいろクリニックはいつでも皆様に寄り添います。

昼間の眠気、それ睡眠時無呼吸症候群かも

最近、「どうも日中に眠くて仕方がない…」「仕事中や運転中にうとうとしてしまう…」そんな経験はありませんか? 皆さんも、仕事や家事に忙しい毎日の中で、こうした体のサインを見過ごしがちかもしれません。単なる寝不足だと思っていても、その眠気の裏には「睡眠時無呼吸症候群」という病気が隠れている可能性があります。このブログでは、気づきにくいその症状や、放置するとどうなるのか、そして当院でできることについて、やさしく解説していきます。

 

見過ごしがち? 日中の眠気と「いびき」の意外な関係

 

「眠いのは当たり前」「いびきは体質だから」そう思っていませんか? 睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に何度も呼吸が止まる病気で、その最大のサインの一つが「大きないびき」です。特に、いびきが途中で止まり、また「グガッ!」と大きな音とともに再開する、というパターンは要注意。これは、空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなっている証拠です。日中の強い眠気は、夜間に十分な酸素が脳に送られず、質の良い睡眠がとれていないために起こります。皆さんも、ご家族に「最近いびきがひどくなったね」と言われたら、ただの寝言だと片付けずに、一度注意して見てみましょう。

 

放置すると怖い? 睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の関係

 

「眠いだけなら大丈夫」と軽く考えてはいけません。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、様々な病気のリスクが高まります。呼吸が止まるたびに、体は酸素不足となり、心臓や血管に大きな負担をかけます。その結果、高血圧や糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病を合併するリスクが大幅に上昇することがわかっています。特に、高血圧の約半数がこの病気を合併しているとも言われており、お互いに悪影響を及ぼしあいます。岡山市は車社会でもありますので、居眠り運転による事故のリスクも無視できません。日中のパフォーマンスが落ちるだけでなく、将来の健康を大きく左右する可能性があるのです。

 

家族の気づきが鍵! 眠りのサインをチェックしよう

 

ご本人はなかなか気づきにくいこの病気。だからこそ、一緒に暮らす家族の気づきがとても大切になります。以下のようなサインが見られたら、一度専門の医療機関に相談してみることをお勧めします。

  • いびきがひどくなった:特に、いびきが止まり、また始まるパターン
  • 夜中に何度も目が覚める:呼吸が苦しくて目が覚めている可能性があります
  • トイレに何度も行く:睡眠中に呼吸が止まると、心臓への負担から尿が作られやすくなります
  • 朝起きた時に頭痛がする:酸素不足が原因で起こることがあります
  • 日中の眠気やだるさがひどい:仕事や家事に集中できないほどの眠気

パートナーやご両親の眠りの様子を観察し、少しでも気になる点があれば、やさしく声をかけてあげてください。

 

検査は意外と簡単! 自宅でできる睡眠チェック

 

「検査って入院しないといけないのでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。睡眠時無呼吸症候群の検査は、当院でも簡単に行うことができます。まずは問診を行い、症状から簡易検査が必要と判断された場合、手の指や鼻にセンサーを付けてご自宅で一晩眠っていただく検査器をお貸し出しします。

当院は患者さんの負担を減らすことを大切にしていますので、リラックスできるご自宅で、いつもと同じように眠っていただき、その間の呼吸の状態や酸素飽和度を測定します。その結果をもとに、病状の重症度を診断し、必要であればさらに詳しい検査や治療へと進めていきます。皆さまが、気軽に健康チェックができるよう、丁寧にご案内いたしますのでご安心ください。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療方法と当院のサポート

 

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、最も一般的な治療法は「CPAP(シーパップ)」療法です。これは、寝ている間にマスクを装着し、鼻から空気を送り込むことで、気道が塞がれるのを防ぐ治療法です。少し抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、治療を始めると「熟睡できて、朝がスッキリする」「日中の眠気がなくなり、仕事に集中できるようになった」など、生活の質の改善を実感される方が非常に多いです。当院では、CPAPの導入から、機械の使い方や日々の管理まで、患者さんに寄り添って丁寧にサポートします。地域のかかりつけ医として、皆さんが健康的で充実した毎日を送れるよう、全力で応援します。

 

まとめ

 

日中の眠気や大きないびきは、単なる寝不足や体質ではなく、睡眠時無呼吸症候群という病気のサインかもしれません。放置すると、高血圧や心臓病などのリスクも高まり、日常生活にも支障をきたします。しかし、この病気は適切な治療で改善し、生活の質を大きく向上させることができます。もし「眠気やいびきが気になる…」と感じたら、一人で悩まずに、にじいろクリニックへお気軽にご相談ください。あなたの健康な毎日を、地域のかかりつけ医として全力でサポートさせていただきます。